任意整理・民事再生(個人再生)について
1 任意整理について~最近では主流の解決とは言えない!?
任意整理については、一昔前までは、債務整理の典型的な方法として、よく行われてきたと言えます。
しかし、最近では、任意整理による解決は少なくなってきた印象があります。この背景には、グレーゾーン金利の撤廃があると思われます。
概ね平成18年以降、大手金融業者は、金利を法定の範囲内(15~20%)に設定するようになりましたので、今後、過払金請求については終焉を迎えることになります。そもそも、過払金が、グレーゾーンという法律の不備によって発生していたものですが、グレーソーンが撤廃されたことにより、過払金はもはや生じえないことになるのです。
平成18年以前は、法定利息を超える利息を支払っていた方が多かったため、平成18年以前に取引があった方については、法定利息に引き直し計算をすることで負債が減額されます。したがいまして、平成18年以前にかなりの期間取引があった方については任意整理も効果的であると言えます。
ところが、平成18年以降の取引が中心の方については、概ね法定利息を支払っているにすぎないため、任意整理では債務の大幅な圧縮を見込むことは極めて困難であり、結局、任意整理では支払いが不能ということが多いのです。
任意整理で支払いができそうかどうかお悩みの方は、当事務所にご相談下さい。
2 民事再生(個人再生)について~住宅を残しつつ債務を圧縮する方法!
民事再生については、個人を対象とする個人再生が利用されることが多いので、個人再生についての説明をいたします(法人についても民事再生の手続きがありますが、ここでは説明を省略します)。
(1) 債務はどの程度圧縮されるのか?
個人再生は、概ね今ある負債総額の8割を免除してもらい、残りの2割(「最低弁済額」といいます。)を3~5年かけて返済をしていくという手続きです。もっとも、所有する資産の総額(「清算価値」といいます。)が最低弁済額を上回る場合、所有する資産の総額分を3~5年で返済しなければなりません。つまり、清算価値と最低弁済額を比較して、いずれか高い方を支払わなければならないということです。
例えば、負債総額が1000万円の場合、最低弁済額は200万円です。特に資産がなければ、この200万円を3~5年で返済すればよい(=800万円は支払いが免除される)のですが、例えば、300万円の価値のある株式を所有しているという場合、株式の価値が最低弁済額を上回っているので、300万円を3~5年で返済しないといけないのです。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの方法があり、給与所得者等再生の場合は、さらに2年間の可処分所得を計算し、これが最低弁済額や清算価値を上回る場合、可処分所得分を返済しないといけません。一般に、独身のサラリーマンなどは可処分所得が大きくなります。
以上のことをまとめると、小規模個人再生の場合、最低弁済額と清算価値のいずれか高い方、給与所得者等再生の場合、最低弁済額と清算価値と2年間の可処分所得の最も高いものを支払わなければならないのです。
給与所得者等再生の場合、小規模個人再生と比較して要件が厳しい分、債権者が反対しても、手続きを最後まで遂行できるというメリットがあります。他方、小規模個人再生については、過半数の債権者が反対すると、再生計画が否決され、個人再生では手続ができないことになってしまうのです。
(2) 破産との違い~個人再生のメリットって何?
個人再生は、自己破産と比較して借金がゼロにならない分、デメリットが大きいようにも思えます。
しかし、個人再生では、資格制限はありませんし、免責不許可事由があっても手続きが利用できます。したがって、ギャンブルで作ってしまった借金であっても個人再生を利用して負債の圧縮ができます。
また、個人再生では、一定の要件を満たした場合、居住用の建物を手放さないということもできます。これが個人再生の最大の特徴であり最大のメリットであると言えます。ただし、当然といえば当然ではあるのですが、この場合、住宅ローンについては圧縮することはできません。住宅ローンについては全額支払う義務が残り、それ以外の負債が圧縮されることになります。
3 任意整理・個人再生については当事務所にご相談下さい。
借金のお支払いに苦労されている方は、まずは少し勇気を出して、当事務所にご相談下さい。必ず道は開かれます。借金で苦しんでいる方の生活再建のために、当事務所が一助となることができればこの上ない幸せです。