債務整理の種類
1 法的整理と私的整理
債務整理とは、一言でいえば、今ある借金の整理をすることです。
債務整理の方法には、大きく分ければ、法的整理(裁判所を通す手続)と私的整理(裁判所を通さない手続)の2通りがあります。
そして、法的整理については、代表的なものとして、自己破産、民事再生(個人再生)、特定調停の3種類があります。
私的整理には、任意整理があります。
2 裁判所を利用する債務整理手続
自己破産、個人再生及び特定調停は、いずれも裁判所を通して借金の整理をする手続きであるという点では同じですが、借金を減らせることのできる金額に大きな違いがあるとお考えいただければイメージがしやすいかもしれません。
自己破産は、今ある借金をゼロにして、生活の再建をする手続きです。
これに対し、特定調停というのは、簡易裁判所の調停委員が間に入って、話し合いをする手続きですので、一概に借金がどのくらい減額されるのかは申し上げられません。少なくとも違法金利の支払いについては否定され、元本と法定利息の範囲内でどのくらいの金額をどのくらいの期間で返済していくのかについて話し合いをする手続であると言えます。
民事再生(個人再生)というのは、借金の金額によっても異なるのですが、概ね今ある借金の80%をカット(ただし借金総額の下限は100万円。)し、残りの20%を3~5年間かけて分割して支払っていくことになる手続です。
それぞれのメリット・デメリットは別のページでご紹介いたします。
3 裁判所を利用しない債務整理手続
裁判所を利用しない債務整理手続には任意整理があります。
任意整理というのは、各債権者と個別に減額交渉や分割払いの交渉をしていき、借金の整理をする手続きです。交渉ですので、必ず債権者の同意が必要になります。
4 過払金について
最近は減少していますが、債務整理をしていく過程の中で、過払金が生じていることが判明することがあります。過払金という言葉は、最近ではCMや電車内の広告にも掲載がなされるようになったこともあり、聞いたことがあるという方も比較的多いようです。
利息制限法では、利息の上限を15~20%(貸付をする金額によって異なります。)と定められているのですが、かつては、これを超える貸し付けをしても、刑事罰は課せられていませんでした。
これに対し、出資法という法律があり、年29.2%を超える利息をとる業者に関しては、刑事罰が課せられることになっていました。
そのため、大手の消費者金融会社などは、概ね20~29.2%の間の金利帯(いわゆるグレーゾーン)で貸し付けを行っていました。
利息制限法を超える利息の支払いは民事上無効です。したがって、古くから消費者金融業者との取引がある方に関しては、かかる違法利息を長年支払ってきたということですから、正常な法定利率に引き直して計算をすると、支払完了どころか、支払過ぎという事態が生じるのです。この支払い過ぎた金額のことを過払金といい、消費者金融業者に対し、過払金の返還を求めることができるのです。
20%以上の利息を支払い、すでに完済をしているということでしたら、間違いなく過払金が生じています。また、完済まではしていなくても、20%を超える利息を相当長い期間(残債の額によりますが、概ね3~5年以上)支払ってきたということでしたら、過払金が生じている可能性が極めて高いと言えます。
過払金を消費者金融業者等に対し請求できる権利は、最終取引日から10年間で時効によって消滅します。20%を超える利息を支払い完済された方は、時効にかかる前に請求をする必要がありますので、1日も早く当事務所にご相談下さい。