過失割合について

 

1 過失割合とは??

過失割合という言葉を聞いたことがありますか?
追突事故や一方が明らかにセンターラインをオーバーして走行したために正面衝突をした事故など、明らかに加害者側に100%責任があるような事案では、過失割合は問題になりません。その場合は、当然、加害者が被害者に対して、被害者に発生した損害を全額賠償することになります。仮に、加害者側に損害が発生したとしても、被害者は、当然のことながら、それを賠償する必要はありません。

ところが、世の中で発生する交通事故の全てがこのようなケースなのではなく、中には非常に微妙なケースもあります。例えば、信号機のある交差点において、一方の車が正面の信号機が黄色の時に直進をしたのに対し、対向車線から来た車が右折をしてきたために、交差点内で衝突したようなケースです。このケースでは、果たしてどちらに責任があるのでしょうか。

過失割合とは、このようなケースの場合に、どちらにどのくらいの落ち度があるのかを示す数値なのです。

 

2 被害者、加害者の双方に損害が発生した場合はどうなるか??

例えば、Aさんの過失割合が3割、Bさんの過失割合が7割、Aさんの損害額が100万円、Bさんの損害額が50万円の交通事故の場合、AさんとBさんはお互いにいくらの請求ができるのでしょうか?

Aさんの過失割合は3割ですから、AさんはBさんに損害の7割(70万円)を請求できます。別の言い方をすれば、3割は、過失相殺によって請求ができなくなります。

他方、Bさんの過失割合は7割ですから、BさんはAさんに損害の3割(15万円)を請求できます。別の言い方をすれば、7割は過失相殺によって請求ができなくなります。

結論として、差し引き、BさんがAさんに55万円を支払うことで全て解決するということです。

 

3 過失割合はどのようにして決まるか??

以上のとおり、過失割合は、交通事故の当事者の責任の負担割合を示すものと言えます。

過失割合については、事故の類型ごとに、おおよその数値が決まっています。例えば、先の黄信号における直進者と右折車の衝突事故の場合、基本的には過失割合は5:5であるとされています。もちろん、これはあくまでも基本的な過失割合ですので、様々な事情を加味して、これと異なる過失割合になることもあります。

損害額が1000万円にもなってきますと、過失割合が1割違うだけでもらえる金額が100万円も変わってきます。

このように、実際に受け取る金額を判断する際に、過失相殺は非常に重要になってきます。

交通事故の実務では、警察官の作成する実況見分調書をもとにして、過失割合の判断がなされるのが通常です。

加害者や保険会社の主張する過失割合が必ずしも正しいとは限りません。疑問に感じたら、すぐに弁護士等の専門家にご相談すべきです。

 

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