慰謝料の増額可能なケース
慰謝料の種類や内容については、別のページで説明をしました。そして、慰謝料の金額には、おおよその基準があり、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準(弁護士基準、赤本基準)という3つの基準があることも説明しました。
しかし、基準は、あくまでも基準ですから、事案によっては、基準の慰謝料よりも増額されることがあります。
具体的には、以下のような事情がある場合には、慰謝料の増額が可能であると考えられています。なお、具体的にどの程度増額がされるのかは、事案によって区々であり、一律に基準のようなものがあるわけではありません。
① 加害者に故意若しくは重過失または著しく不誠実な態度等がある場合
「故意若しくは重過失」とは、無免許運転、ひき逃げ、酒酔い運転、著しいスピード違反、ことさらの赤信号無視等を言います。このような場合、社会的非難の度合いが高く、被害者の悲しみ等も倍加することが通常であることから、慰謝料が増額されるべきであるとされています。
「不誠実な態度」とは、事故責任がある者が一度も見舞いに行かなかったり、何ら理由がないのに責任転嫁を図ったり、被害者を侮辱したような場合を言うとされています。このような態度が著しい場合に、慰謝料の増額事由となることがあります。
② 被扶養者が多数の場合
具体的基準があるわけではありませんが、亡くなった方に扶養すべき家族が1人いる場合と4人いる場合とで果たして同じ慰謝料でよいのかという問題があり、被扶養者が多数の場合には慰謝料が増額される場合があります。
③ 傷害の部位や程度(傷害慰謝料について)
傷害の部位や程度によっては、裁判基準の傷害慰謝料からさらに2~3割慰謝料が増額されることがあります。例えば、脳や脊髄の損傷や多数の部位にわたる骨折、内臓破裂を伴う傷害の場合などがこれに該当すると考えられています。
④ 生死が危ぶまれる状態が継続したときなど(傷害慰謝料について)
生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、慰謝料の増額がなされることがあります。